投稿日:2016-03-29 Tue
Kindle で、無料で読めます。グリシャム自身は、自分の書いた最も重要な本と言っていますが、
ある特徴のある本です(後述)。
The Tumor: A Non-Legal Thriller (English Edition)
John Grisham

35 歳の若さで、ポールは
病にたおれる。
脳に腫瘍ができたのだ。
のこされた家族は?
将来の夢は?
focused ultrasound という治療法について、
ドラマ仕立てでわかりやすく解説した短編というか、小冊子です。
超音波をうまいこと患部に集中させて腫瘍をやっつける技術
……と、ざっくり理解しました。
(ざっくりした理解で、すみません)。
ただし現在ではまだ確立された治療法ではなく、
技術開発にこれから 10 年くらいかかる。
だから、みなさん、応援よろしく、というところです。
そういうパンフレットだと思って読むと、
さすが法廷ミステリーの第一人者グリシャムだけあって、
興味深く読めるようになっています。
しかし、私は、グリシャムの Non-Legal Thriller
(法廷ものじゃないスリラー)ときくと、
Skipping Christmas のような、しゃれたユーモアものを
勝手に期待してしまい
(ま、あれはコメディーですし、本当に面白くて大好きなのですが)、
肩すかしになってしまいました。
この超音波の治療法をすすめる財団があり、
それを一般に啓蒙するための紹介冊子をグリシャムが書いた
と思って読めば、もう少し楽しく読めたと思います。
ノンフィクションが好きな方や、自分が知っていることを土台に、
新しいことについて知識をえる、という読み方にチャレンジするなら
とてもいいと思います。
ただし医学用語が多いのと、新しい技術の話をしているので
ちんぷんかんぷんとなると、かなりへこみそう。
そういう意味で、英語多読用としてひとにすすめるかというと、★ひとつ。
読みやすさレベル6 。(ただし、6にしては短いです)。
そうはいっても、こういう内容をわかりやすい読み物にしたてる
グリシャムの腕はたいしたもので、そこは★5つ。
医学用語が多いといっても、わりあい一般的な言葉を使っていますし、
臓器の名前っぽいな(どの臓器か知らんけど)、
薬の名前か、病名っぽいな(どの薬か、病名か知らんけど)、
調べたくなったら後で調べることにして読み進めると、
まったく知らない単語なのに、臓器か、薬か、病名か、
「なんとなく見当がつく力」がついてきます。
とはいえ、あまりちんぷんかんぷんなものを読むのも苦痛なので、
多読三原則の三番目「合わない本は投げる」で、
途中で読むのをやめましょう。勇気ある撤退。
Kindle で無料です。
英語多読向き?★☆☆☆☆
パンフレットとしての成功度★★★★★
(と、両極端な結論ですみません。)

読みやすさレベル6
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10:42:01 |
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投稿日:2015-03-07 Sat
うわ~、これいい。短編「木野」がニューヨーカーに掲載されたものです。無料で読めますよ。
http://www.newyorker.com/magazine/2015/02/23/kino
妻に浮気された男木野は、表参道でバーを開く。
★★★★★
9125 語
読みやすさレベル5
(レベル4に毛が生えたくらいの感覚で読みましたが、
そこまでやさしいはずがないから6にしたいけど、
それも上げすぎかなあと、5にしておきます)
原著も読んだことがないのですが、
この語らずしてひたひたと語る感じ、いいねえ。
もとが日本語なので、読んでいて日本語だとこうなのかなあ
と頭に日本語が浮かびました。
「妙に」読みやすかったです。

読みやすさレベル6
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12:20:11 |
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投稿日:2014-12-22 Mon
ハッピーエンドとわかっていて、安心して読めるクリスマスの本です。安定のデビちゃん品質。
Angels at Christmas
Debbie Macomber(←デビちゃん)

「クリスマスまでに○○になりますように」
と人間界からお願いがきます。
これを叶えてあげなさい、と使命を受け
3 人の天使が奮闘します。
★★★★☆
(ザクザク気楽に読むのにいい感じ。超傑作ではないです)
読みやすさレベル6
約 7 万語(同じくらいの長さの他の本と比較)
The Shop On Blossom Street

“軽いクリスマス本 "Angels At Christmas"”の続きを読む>>
読みやすさレベル6
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11:42:16 |
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投稿日:2014-09-30 Tue
うわあ、これは「読者の愉悦」というものだー!When Marnie Was There (Essential Modern Classics)
Joan G. Robinson

友達のいない少女 Anna。
家庭環境にも事情がありそうです。
(その事情は読んでるうちに明らかに)
海辺の町、夏。
あるお宅にあずけられることになった
Anna は Marnie という少女と出会います。
その出会いが少女を変えていきます。
……と書くと、よくある少女の友情もの?と思いますが、
違うんですよー。それだけじゃないんですよー。
この Marnie という少女といると
ちょっと不思議なことが起こるんです。
なんだかわからないけど、ちょっと謎めいたこと。
謎といっても、いやこういうことなんじゃないの~と
読者としては想像をめぐらしますが、
後半になってから怒涛の展開。
ネタバレになるのでこれ以上は言えませんが、
「読者の立場で二人をみること」をすごく楽しませてくれました。
★★★★★
読みやすさレベル6
70,000 語
イギリス児童文学の最高傑作といわれるのも、わかるわ~。
もっと早く読めばよかった。
途中で眠くなるところがあるかもしれませんが、
後半へいくと一気に目が覚めます。
◎みぃみぃさんのブログの紹介を読んだら無性に読みたくなって読みました。
ありがとうございました。
When Marnie Was There (思い出のマーニー) 読了しました。 #tadoku
◎前の記事に書きましたが、この本には、
いろいろな tea の場面が出てきます。
tea のシーンを読み比べるのも面白かったです。
【イギリス英語】tea がお茶じゃないやつが出てきた

読みやすさレベル6
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12:49:46 |
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投稿日:2014-05-12 Mon
奇しくも、"The Lock Artist" に続き、金庫破りものが続きました。The Safe Man: A Ghost Story
Michael Connelly

といっても、こちらはドリルで
ガンガン穴をあけていくほう。
古くなったミステリアスな金庫と
即物的な電気パワーの対比が面白い。
あのコネリーの、幽霊奇譚です。
短編なので、あまりなにも知らずに読むほうが面白いと思う。
これ、好きです。なんかいいよ。
★★★★☆
読みやすさレベル6
(短いので6にしておきます)
語数:たぶん 4000 語くらい(どんぷり勘定)
前半が表題の短編 "The Safe Man"、
後半は "The Black Box" の最初の章です。
昨年、(当時の)最新作のプロモーションのために、
初公開の短編とセットにして Kindle 版で出されたものです。
最近、こういうの多いですね。うれしいなあ。
<語数について>
短編は Kindle のロケーション番号で 654 まで、です。
なんの根拠もありませんが、ヤマカンで
1 ロケーションに 5 語あるとして(もうちょっとありそうだな)、
654 x 5 = 3270
もうちょっとありそうなので、4000 語くらいかな、と。
すでに読まれた間者猫さんのブログにリンク張らせて頂きます。
【Kindle】Michael Connelly, The Safe Man
そういえば、私は、まだコネリーの Bosch シリーズを全部読んでません。
いずれ、そのうち。

読みやすさレベル6
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16:13:48 |
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投稿日:2014-03-27 Thu
俺の話を聴いてくれ、と言わんばかりの饒舌な独り語りで進みます。しかし、現実にはこの少年、8 歳のときの事件のショックで
まったく喋れないんです。
Lock Artist
Steve Hamilton

プロの金庫破りとして
天才的な才能をもった少年の話。
淡い恋。
沈黙するしかない彼の内面で
こんなに言葉が渦巻いているのかと
胸がきゅんとしました。
沈黙と饒舌。
鍵のかかった心。
鍵のかかった金庫(safe)。
★★★★★
(星が7つあったら7つつけたい!)
読みやすさレベル6
123786 語
2011 年エドガー賞受賞
2013 年「このミステリーがすごい」1位
大人向けの小説ですが、語数を調べに Scholastic 社のサイトをみたら、
Interest Level: High School
Reading Level: 4.5
とありました。英語圏の人なら内容的には高校生レベルだけど
英語としては小学校 4~5 年生くらい...まじっすか。
たしかに 17 歳の少年の口調で進むけど(汗)。
でも、12万語超えの本をレベル4として他人に薦める気はしないです、私。
日本人の大人にとっては読みやすさレベル6だと思う、長いから。
safe は、金庫でもあり、身の安全のことでもあるから、
詳しくは語りませんが、英語で読めてよかったです。
ちなみに、翻訳者さんは、嵐の二ノ宮くんをイメージして訳したそうですよ。
Navar まとめ より
翻訳家が嵐・二宮和也をイメージして訳した『解錠師』のニノっぽい部分をまとめました
(↑↑ ネタバレ注意)
翻訳はこちらです。
解錠師 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
スティーヴ・ハミルトン 越前敏弥


読みやすさレベル6
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23:41:02 |
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投稿日:2014-01-13 Mon
衝撃的に面白い、ジェットコースター本!!!Kindred
Octavia E. Butler

新婚ほやほやの黒人女性 Dana が
奴隷制の時代へ
タイムスリップします。
て、それ、かなり危険ではっ!!
★★★★★
読みやすさレベル5前後
96452 語
読後はしばらく呆然。
なんなの、この、心理的なパワー・ゲーム。
そういうことが許される社会では、
心理的にどっぷり依存しながら、
酷い仕打ちをすることで
もやもやを発散しようとするのか。
怖っ!
奴隷制度に入ってしまえば、黒人だけでなく白人も傷を負うのが
よく描かれています。
人種問題、女性、SF と、私のストライクどまんなかでした。
多読前からずっと読みたかった本ですが、
いつの間にか読みやすくなっていて、
こんなことならもっと早く読めばよかった。
1979 年の小説ですが、昔の本は高騰していて、
最近、新しい版が出たようです。
Kindle 版はこちら。
読みやすさは、奴隷制の背景知識に左右されるので、
いきなり読むならレベル6かな。
(英語圏の子供向けの Reading Level は4になってます)
以下の絵本・児童書などを読んでから読むと、読みやすいかも。




読みやすさレベル6
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11:09:02 |
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投稿日:2013-08-01 Thu
アマゾンによるインタビュー。Kindle Single(たいへん短い Kindle 本)で無料です。
冒頭のインタビュアーの前置きは、大統領へのインタビューに
至った経緯を、緊張した面持ちで書いているので、
高尚な単語を選んだ書き言葉になっています。
そこは飛ばして読めば、オバマ大統領は plain English で話すので
まあまあ読みやすいかなあ、と。(^^;
(しかし、抽象的な政治の話なので、途中でポワーンと
校長先生の話を朝礼で聞いているような、
大人たちはムズカシイ話をしてるな~って気分になってきた
と告白しておきます ^^;;;)
★★★★☆
読みやすさレベル5~6
5000 語くらい
We have increasingly resigned ourselves to a "winner-take-all" economy--again, driven a lot by technology and globalization, where folks at the very top are doing very well and the broad middle class of people, people trying to get into middle class, are having a tougher and tougher time.
テクノロジーの進化とグローバル化で "winner-takes-all" の経済になっているが、トップにいる人たちが潤っているだけで、その他大勢にあたる中流層とその下の人々は、どんどん暮らしが厳しくなってきている。
そういう現状認識のなかで、オバマ大統領は、
winner のほうではなく、大多数の人々のほうを
サポートすることが政治家の役目ととらえているようです。
(雇用の創出、教育、チャンスが平等にある社会へ)
日本ではまだ "winner-take-all" だから、その winner にならねば、
というフェーズにいるような気がするなあ。
その競争に明け暮れて、はたと気が付いたら
格差が広がり、中流が前よりも貧しくなってしまったのが
今のアメリカ。
古いアメリカン・ドリームから醒めつつあるところ、
でしょうか。

読みやすさレベル6
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17:04:58 |
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投稿日:2013-02-05 Tue
His Dark Materials シリーズのスピンオフ。Lyra's Oxford: His Dark Materials
Philip Pullman John Lawrence

あれから 2 年後の設定です。
折りたたんだ紙のページを開くと、
ライラの世界のオックスフォードの
地図がでてきました。
仕掛けが素敵だったので、
ペーパーバックも出ていますが、
布張りの表紙のハードカバーにリンクしておきます。
短い物語が 1 つと、地図、ハガキ、カタログなど。
ライラのあの世界が返ってきたのがうれしい。
★★★★☆
読みやすさレベル6(短いので)
7320 語(出版社サイトより)
※ 本編の His Dark Materials 全 3 巻は、レベル9
映画にもなった『黄金の羅針盤』が第 1 巻です。
ファンにはうれしいけど、これだけ読んでもサッパリわかないし、
ちょっとした話で、ものたりなさもあり、
星を 1 つ減らしました。
私はこの本、紀伊国屋のバーゲンで見つけたのだけど、
多読仲間に本編を読んでからのオマケみたいな本じゃないかな~と
教えてもらって、この本は、もう何年も寝かしてました。
やっと読めた!(まんぞく~)

読みやすさレベル6
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09:13:37 |
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投稿日:2012-05-24 Thu
噂どおり、すばらしい小説でした。ニューベリー賞受賞作。The Giver (Readers Circle (Laurel-Leaf))
Lois Lowry

安全に管理されたユートピア社会。
12 歳の儀式で、少年は
完全だと思っていた社会に
別の面があることを知ります。
★★★★★
レベル6
43139 語(出版社サイトより)
竹宮 惠子のマンガ『地球へ…』 が大好きだったので
この本も好みに違いないと思いつつ、
じっくり味わって読めるようになってから読みたくて
ずっと温めていました。(温めすぎ?)
思春期の子どもたちが
こうしたユートピア/ディストピア小説を読むのは
特別な意味があるような気がします。
守られていた暮らしは終わりを告げる、
自分の足で歩いていくんだよ、
少しずつ大人になっていくんだよ。
Kindle 版はこちらです。翻訳はこちら。
続編の Gathering Blue を読もうとしたら、
Kindle 版がまだありませんでした。
おもわず、amazon.com にメールでお願いしました。
ネタバレ気味の独り言は、続きに隠します。

“"The Giver" ユートピア小説”の続きを読む>>
読みやすさレベル6
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18:24:01 |
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